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2015.11.26

募集事項関係-タームシート解説 (1/6)

タームシート解説の1回目は、タームシートの募集事項関係についてまとめてご説明します。

募集事項関係についてご説明する事項は、基本的に他の項目でその詳細についてご説明していますので、ここではタームシート解説に必要な範囲での説明にとどめることにします。

1株当たり価額

ベンチャー投資の文脈では、投資に際しての1株当たり価額は、その時点の会社のプレマネーベースのバリュエーションを完全稀釈化ベー スの株式数で割って算出されることになります。
「完全稀釈化ベース」というのは、必ずしも一義的に定義が固まっているわけではありませんので、「完全稀釈化」と言われた場合には、これが具体的に何を意味するのかを確かめるというのは、おかしなことではありません。
一般に「完全稀釈化ベース」といった場合、少なくとも以下の株数がこれに含まれることになります。
・発行済の普通株式総数
・発行済の優先株式の全てが普通株式に転換したと仮定した場合の普通株式株式総数
・付与済の新株予約権(ストック・オプションやワラントを含む)の行使により発行される普通株式総数
・その他行使され又は転換された場合に普通株式が発行される場合の普通株式総数

「完全稀釈化ベース」といった場合、上記に加え、以下のものが含まれるのかどうかは交渉次第ということになります。
・現状まだ付与されていないストック・オプション
・資金調達に関連して拡大することが予定されているオプションプールの拡大分

1株当たり価額は、プレマネーバリュエーションを完全稀釈化ベースの株数で割って算出することになりますので、創業者を含む既存株主としては、完全希釈化ベースの株数が少ない方が、1株当たり価額が上がることになり、ハッピーということになります。したがって、上記でたとえば付与されていないストック・オプションは完全稀釈化ベースの株数に算入されない、オプションプールの拡大は資金調達の後 に行われるため現時点の株数算出上は考慮しない、という立場をとりたがることになります。

これに対し、投資家としては、これらのオプションプールは将来発行されることを前提としてバリュエーションをしているので、完全稀釈化ベースの株数に算入されるべきと主張することになります。

これはいずれが正しいということではなく、純粋に交渉の問題です。

資本構成

投資しようとする会社の資本構成、具体的には株式発行授権枠の状況、株式の発行状況、ストック・オプションその他新株予約権の付与の状況などを確認しておくことは、投資家にとってはとても重要な前提条件です。株式引受契約の中でも表明保証の形でしっかりおさえますが、タームシートの段階で経営陣と確認・合意しておくのが通常です。

特に、資本再編成を実施した上で投資することを約束する案件などでは、変更後の資本構成を合意しておくことが必須ですし、変更前から何をどのように変更させるのかについて合意しておくのも有益です。

予定クロージング日

株式引受契約の留意事項」でもご説明したとおり、ベンチャー投資では複数回クロージングのコンセプトを盛り込むことがあります。複数投資家から比較的大きな金額を集めるディールでは、当初はクロージング日が一本化される予定だったのに、後からやはり複数回クロージングがよいという話になることもあります。当事者にとってはちょっとしたビジネス上の判断ですが、契約書としては建付けが大きく変わってくることになりますので、リーガルフィー節減という意味では、当初から複数回クロージングの契約雛型で作業しておいたほうがよいかもしれません。

段階的投資の合意

投資の前段階で、次の投資のマイルストーンを定めて、これが実現したら次の投資に応じる、といった事項を合意することがあります。いわば段階的投資の合意です。

会社・起業家にとっては、このような合意が投資家との間でできれば、先の見通しがついて安心ですが、投資家としては、先々の資金について現状でコミットすることは難しいという立場をとるかもしれません。「段階的投資モデルの本質 (1/2)」でご説明したとおり、段階的投資は関係的状態依存型ガバナンスの形を取りますので、一定の目標を達成したら次の投資が得られる、という約束をしておくということは、比較的自然ではあるのですが、いかんせん不確実性の高いベンチャー事業について、将来の投資を法的に確約させるというところまで投資家に求められるか、といえば、そこまでは難しいというケースもあるかもしれません。

この点は、会社・起業家と投資家の間の関係、とりわけ会社の提供するサービスが有望であるなどの理由で、投資家がぜひ投資したいと考えているということであれば、会社としてはそのレバレッジを利用して、次回投資について何らかの合意を得に行くということが考えられてもよいでしょう。

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