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2015.11.26

株式型クラウドファンディング-改正金商法と日証協ルール

2014年5月23日、いわゆる投資型クラウドファンディングに関する規制を緩和する金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号、以下「改正法」)が成立しました。これを受けて日本証券業協会(以下「日証協」)は6月17日、株式投資型クラウドファンディングの導入に際しての自主規制のグランドデザインを公表しています。

今回は、投資型クラウドファンディングに関する規制緩和の概要と、これによって導入が見込まれる株式投資型クラウドファンディングの新たな規制概要をご説明します。

1. 金融商品取引法の改正

投資型クラウドファンディングとは、新規・成長企業等と投資家をオンラインプラットフォーム上で結びつけ、多数の者からエクイティの形で少額ずつ資金を調達する資金調達方法をいいます。

クラウドファンディングは、資金供給者に対して提供されるリターンの形態に応じて、①寄附型(リターンなし)、②購入型(金銭以外の財物)、③投資型(金銭)に大きく分けることができますが、いずれも資金調達のための手段であり、インターネット技術の発達により可能となった2つの革新をその背景とする点で共通点を持っています。

資金調達を実現するためには、資金需要者に対する信用が必要となりますが、金融機関は、調査を通じて資金需要者に対する信用情報を創造し、自ら資金を提供するか、第三者による資金提供を媒介することを業務としています。持続性のある金融の仕組みは、この信用情報の創造コストの問題を克服しないと成立しませんが、インターネット、とりわけソーシャルネットワークサービス(SNS)の進化と普及は、資金需要者の信用情報の創造コストを劇的に引き下げることになりました。また、特に多数の者から小口の資金を調達する仕組みについては、他の取引費用が十分に安いことがサービス成立の重要な前提条件となります。インターネットは、資金需要者の情報を極めて安価に幅広く拡散させることができ、情報技術(IT)を用いた安価な決済システムとともに、小口の資金提供が可能な程度に取引費用を低下することに成功したといえます。

改正法は、これまで限定した形でしか行うことができなかった投資型クラウドファンディングについて、投資者が非上場株式を取得することができるタイプのものを解禁のうえで、プラットフォーム事業者の参入要件等を緩和し、あわせて事業に対するファンド持分を取得するタイプのクラウドファンディングについても、一定の規制緩和を図るものです。

 

2.  投資型クラウドファンディングの仕組み

金融業による金融の形態は、大きく直接金融と間接金融(市場型間接金融を含む。)に分けることができます。投資型クラウドファンディングも、この区分に従って①資金需要者の発行するエクイティを投資家が直接取得し、クラウドファンディング事業者がこれを媒介する方式と、②クラウドファンディング事業者が投資家に対してエクイティを発行し、調達資金を資金需要者に提供する方式に分けることができます。改正法によって緩和が図られたのは、基本的に①の方式です。

①の方式による投資型クラウドファンディングにおいて、改正法が予定しているものは、大きく2つのタイプのものがあります。一つには、資金需要者が株式を発行するタイプのもの、もう一つは、資金需要者が匿名組合などファンド出資を募るタイプのものです。株式について投資家とのマッチングを行うものは、本来第一種金融商品取引業者(以下「証券会社」という。)でなければ行うことができず、ファンド持分について投資家とのマッチングを行うものは、本来第二種金融商品取引業者(以下「二種業者」)でなければ行うことができません。また、証券会社の自主規制機関である日証協は、いわゆるグリーンシート銘柄以外の非上場株式に関する適格機関投資家以外の者に対する投資勧誘行為を禁じています(店頭有価証券規制第3条)。

改正法は、非上場株式や事業に対する匿名組合出資持分など一定の有価証券に関するオンラインプラットフォーム上で行われるマッチングビジネスについて、これを電子募集取扱業務として定め(改正法第29条の2第1項第6号)、そのうち非上場株式を対象として一定の少額要件を満たすもののみを取扱う事業者を第一種少額電子募集取扱業者(同法第29条の4の2第10項)、事業に対する匿名組合出資持分等を対象として同じく少額要件を満たすもののみを取扱う事業者を第二種少額電子募集取扱業者(同法第29条の4の3第4項)として、それぞれ第一種・第二種金融商品取引業を行うために必要な登録の要件等を緩和するものです。これに併せて日証協は、グリーンシート銘柄制度を廃止し、よりクローズドな投資グループにおける非上場株式の売買のためのプラットフォームを新たに設けると共に、非上場株式を対象とする投資型クラウドファンディング(以下「株式投資型クラウドファンディング」)についての新たな自主規制ルールを設けることになります。

なお、上記の少額要件の具体的内容は政令で定められますが、これは発行総額1億円未満かつ1人当たり投資額50万円以下とすることが提案されています(金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書(以下「WG報告書」)3頁)。

 

3.  投資型クラウドファンディングに関する改正法における規制の概要

(1) 第一種少額電子募集取扱業者

第一種少額電子募集取扱業者(株式投資型クラウドファンディングのプラットフォーム事業者)は、少額要件を満たさなければならないため、十分な手数料収入が期待できず、証券会社に対して課される規制がすべて適用されると、規制遵守コストにより事業が成立しません。そこで、以下のとおり証券会社に課される様々な規制を緩和する一方で、一定の業務を行うことができないものとしています。

ア. 参入要件の緩和

第一種少額電子募集取扱業者には、証券会社に課される兼業規制(金商法第29条の4第1項第5号ハ)及び自己資本規制比率(同項第6号イ)は適用されません。また、金融庁の開示している法案説明資料(以下「説明資料」という。)によると、登録に必要な最低資本金を証券会社の5000万円から1000万円に引き下げることが予定されています。

イ. 行為規制の緩和

第一種少額電子募集取扱業者が第一種少額電子募集取扱業務を行う場合、証券会社に課される兼業規制(金商法第35条)、金融商品取引責任準備金(金商法第46条の5)及び自己資本規制比率(同法第46条の6)の規定は適用されません(改正法第29条の4の2第2項から第6項)。また証券会社に課される標識の掲示(金商法第36条の2第1項)に関する義務は課されませんが、サービスを提供するウェブサイト上に商号、登録番号その他の事項を掲載しなければならないとされています(改正法第29条の4の2第8項)。

ウ. 業務等の制限

第一種少額電子募集取扱業者は、証券会社が行うことができる金融商品仲介業者への業務委託(金商法第2条第11項)、公開買付事務取扱い(同法第27条の2第4項)、大量保有報告制度における特例報告(同法第27条の26第1項)は行うことができません(改正法第29条の4の2第7項)。

なお、第一種少額電子募集取扱業者は、電子募集取扱業務に関して顧客から金銭の預託を受けることができるものとされており(改正法第29条の4の2第10項)、口座を開設して株式の購入代金を預り決済することが明文で認められています。

(2) 第二種少額電子募集取扱業者

事業に対する匿名組合出資持分等で少額要件を満たしたもののみのクラウドファンディング(以下「ファンド持分投資型クラウドファンディング」)を取扱う第二種少額電子募集取扱業者についても、同様の趣旨で一定の規制緩和がなされています。もっとも、二種業者は、もともと兼業規制や金融商品取引責任準備金の規制や自己資本規制比率の維持に関する規制は課せられておらず、予定される緩和内容としては、説明資料に記載される最低資本金規制を1000万円から500万円に引き下げること等にとどまります。また、標識の掲示規制(金商法第36条の2第1項)は課されませんが、代わりにサービスを提供するウェブサイト上に商号、登録番号その他の事項を掲載しなければならないとされている(改正法第29条の4の2第8項)点は、第一種少額電子募集取扱業者と同様です。

なお、WG報告書には、ファンド持分投資型クラウドファンディングについて、契約締結前交付書面の簡素化を図る等の措置を併せて講じることが適当であると記載されており、このための内閣府令の改正も今後検討されるものと思われます。

(3) 電子募集取扱業務に関する規制

投資型クラウドファンディングのプラットフォーム事業者は、投資の募集を行う期間中、契約締結前交付書面の記載事項のうち、投資家の投資判断に重要な影響を与える一定の事項を、ウェブサイトに掲載しなければなりません(改正法第43条の5)。ウェブサイト上に掲載することが求められる事項は、今後内閣府令で明らかにされますが、資金需要者の商号・所在地、代表者、調達した資金を用いて行う事業の内容や事業計画、調達資金の使途、投資型クラウドファンディングに伴うリスクなどが記載されることが見込まれます。これらの事項については、内閣府令において、契約締結前交付書面にも記載することが要求されることになると考えられます。

また今回の改正法においては、すべての金融商品取引業者等に対して、自らが行う金融商品取引業又は登録金融機関業務を適確に遂行するために必要な業務管理体制を整備する義務が課されることになりました(改正法第35条の3)。これに伴い、金融商品取引業の登録に際しても、金融商品取引業を適確に遂行するために必要な体制を整備することが条件であることが明記され、登録審査に当たって体制整備がなされていないことが登録拒否事由になることが明記されることとなりました(改正法第29条の4第1項第1号ヘ)。WG報告書では、クラウドファンディングがインターネットを通じて手軽に多数の者から資金を調達できる仕組みであることから、詐欺的な行為に悪用されることのないような制度的な工夫が必要であるとされていたところで、その一つとして、今回の改正法に基づく体制整備を投資型クラウドファンディングのプラットフォーム事業者に求めることが予定されています。プラットフォーム事業者に対して求められる体制としては、資金需要者の事業内容のチェック体制、ウェブサイトの管理等のために必要な社内ルール、組織体制、システムの整備等が含まれるといわれています。

これに加えて、上述のウェブサイトへの情報掲載を怠り、又は虚偽の事項を掲載したプラットフォーム事業者には、6月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が課され、またはこれらが併科されます(改正法第205条第14号)。

 

4. 投資型クラウドファンディングに関する日証協における自主規制の概要

前述の通り、投資型クラウドファンディングは、調達可能な金額の少額性ゆえに、1件当たりの手数料収入は通常の株式等の募集取扱いと比べて小さくならざるを得ません。このような特性を持つ事業に対して、法令により厳格な規制を課し、監督当局による厳格な規制のもとに置くこととすれば、期待収益に比して規制対応コストが過大となり、プラットフォーム事業の担い手が現れなくなってしまいます。このような事態を避けるため、投資型クラウドファンディングは、法令による規制・監督を厳格にし過ぎぬように制度設計される必要があります。

他方、投資型クラウドファンディングが、詐欺的な行為に悪用されることや、反社会的勢力に利用されること等のリスクがある以上、これらを防止し、投資家が安心して投資できる環境を整備することも重要です。

このような考え方により、改正法は、当局による規制・監督のみに依拠するのではなく、自主規制機関による適切な自主規制機能の発揮を組み合わせることにより、投資型クラウドファンディング事業の健全性を適切なコストで確保することを企図した制度設計となっています。

株式投資型クラウドファンディングについて、日証協の非上場株式の取引制度等に関するワーキング・グループは6月17日、「株式投資型クラウドファンディング及びグリーンシート銘柄制度等に代わる新たな非上場株式の取引制度のあり方について」と題する報告書(以下「日証協WG報告書」)をとりまとめました。同報告書は、株式投資型クラウドファンディングに関する自主規制のデザインについて、株式投資型クラウドファンディングのプラットフォーム事業者となりうる証券会社と第一種少額電子募集取扱業者に対する自主規制のあり方について、以下のとおり整理しています。

(1) 自主規制内容の基本的な考え方

そもそも非上場株式についての募集の取扱いを原則として行うことができないとしていたのは、日証協の自主規制ルールによるものであったなかで、今回このルールを株式投資型クラウドファンディングの制度導入にあわせてどのように改訂していくべきかというのが、日証協の検討における視点であると考えられます。こうした視点から見た場合、従来の原則禁止の取扱いを証券会社と第一種少額電子募集取扱業者に対してどのような形で解禁していくかという発想から、新たな自主規制の内容の検討が進められるというのは自然な流れと考えられます。

日証協WG報告書は、このような観点から、以下の基本的な考え方のもとで自主規制内容を見直すことを明らかにしています。

ア. 投資型クラウドファンディングに対する規制態様

証券会社も第一種少額電子募集取扱業者も、電子募集取扱業務を行うことができるという点では共通するため、電子募集取扱業務を行うことに関しては、両者は同等のルールに服することになります。他方、第一種少額電子募集取扱業者は少額要件を満たした案件のみを取扱うことができるのに対し、証券会社はそのような制限がありません。このことのゆえに第一種少額電子募集取扱業者に対してより緩和された規制を適用するか否かについて、同報告書は、投資者保護の観点や改正法が一定の事項を除いては両者には同様の規制を課していること、電子募集取扱業務について一定の規制の加重を行っていることを根拠として、第一種少額電子募集取扱業者に対する自主規制は、原則として証券会社に対するものと同じとし、必要に応じて証券会社に対する規制に加減を加える形で設計することが妥当であると結論付けています。

イ. 電子募集取扱業務

非上場株式の投資勧誘の禁止の例外として電子募集取扱業務を位置づけるものとした場合、その自主規制の内容は具体的にどのような内容とすべきかが問題となります。この点、日証協WG報告書は、現状日証協が持っている、証券会社による引受を伴わない非上場株式の募集・私募の取扱に対して適用される自主規制を基本的にはそのまま適用することとし、必要に応じて、これに加減を加えていくのが適当であると結論付けています。

ウ. 証券会社に対する少額要件の適用

証券会社が電子募集取扱業務を行う場合、第一種少額電子募集取扱業者と同様の少額要件を自主規制によって課するか否かが問題となります。この点日証協WG報告書は、非上場株式に関する電子募集取扱業務は、あくまで非上場株式に対する投資勧誘の原則禁止に対する例外であることを強調して、証券会社が非上場株式の電子募集取扱業務を行う場合であっても、少額要件の範囲内でのみこれを行うことができるものとすべきであると結論付けています。

これには、証券会社は、グリーンシート銘柄制度の後継制度である投資グループの枠組みのもとで、少額ではない非上場株式の投資勧誘を行うことができるとの考えが背景にあります。

このように整理した場合、証券会社がインターネットを用いた非上場株式の投資勧誘を手がける場合、少額要件を甘受しつつ第一種少額電子募集取扱業務として投資型クラウドファンディングを手がけるか、投資グループ方式を活用して少額要件のかからない投資型クラウドファンディング業務を手がけるか選択することになると考えられます。

エ. 勧誘手法

電子募集取扱業務は、インターネットを用いた投資勧誘に限定されますが、証券会社が投資グループ方式で非上場株式の投資勧誘を行う場合、インターネットのみならず対面及び電話等による投資勧誘を行うことが可能です。

電子募集取扱業務における勧誘手法がインターネットに限定されるということは、少額電子募集取扱業務につき投資家からの電話での問い合わせに一切回答することができないことを意味するものではありません。例えば、事務手続きに対する問い合わせや、システムや用語の説明、クレーム対応としての一次対応を電話にて行うための体制を整備しておくことは、業者として必要なことであるとされています。

(2) 株式投資型クラウドファンディングの自主規制の概要

ア. 取扱銘柄の選定

上述のとおり、改正法に基づきプラットフォーム事業者に対して求められる体制として、資金需要者である発行者の事業内容のチェック体制が含まれることになります。日証協WG報告書は、電子募集取扱業務を行うにあたっては、少なくとも発行者及びその事業の実在性、事業計画の妥当性、法令遵守状況を含めた事業の社会性、及び反社会的勢力との関係の有無について確認の上で、取扱う銘柄を選定していく必要があるとしています。

イ. リスク確認

投資家が第一種少額電子募集取扱業務に応じて非上場会社の株式を取得することとなる場合に、投資家にはこれに伴うリスクを正確に認識させたうえで、これらの諸リスクを理解した上で投資させることが重要です。そのための仕組みとして、日証協WG報告書は、以下の事項についてのリスク確認を確認書によって行うべきであると整理しています。確認の対象となっているリスクは、以下のものが挙げられます。

・ 金商法に基づく開示や上場会社のような適時開示が行われていないこと

・ 取引の参考となる気配・相場が存在しないこと

・ 株式は、償還が行われず、利息も支払われないこと、及び、発行者において利益が計上されない限り株式について配当が支払われることは稀であること

・ 発行者自身又はその周辺の状況により、取得する株式の価値が大きく失われるリスクがあること

・ セカンダリー場面で投資グループが組成されない場合、募集が終了すると、金融商品取引業者による会社情報の提供が行われなくなると共に、換金性が著しく乏しくなること

・ 会社の譲渡制限が付されている場合には、取引を行っても、発行者による承認が得られない場合があること

・ 投資家1人当たりの投資額が少額に限られること

ウ. ウェブサイト上での情報提供

上述のとおり、証券会社や第一種少額電子募集取扱業者は、募集期間中、契約締結前交付書面の記載事項のうち一定の事項をウェブサイト上に掲載しなければならないものとされています(改正法第43条の5)。この中の記載として法令において求められるものに加えて、自主規制ルールとして、一定の事項、例えば決済確認体制や株主管理体制などを追加することが考えられます。

エ. 業務管理体制の整備

改正法で要請される業務管理体制の整備(改正法第29条の4第1項第1号ヘ、第35条の3)に関して、日証協自主ルールでは取扱要領の作成が求められます。これは、法令で要請される体制のほか、上記アからウや(1)エで言及した問い合わせへの対応のための体制、事業者の株式投資型クラウドファンディング取引の具体的な方法や条件等について記載させることが想定されています。

オ. 日証協による管理

第一種少額電子募集取扱業務を行う証券会社や第一種少額電子募集取扱業者は、業務開始に先立って日証協に対し、上記エで言及した取扱要領を届出ることが求められます。また、取扱要領の内容が変更する都度、変更届を提出することが想定されています。

そのほかに日証協によるモニタリングの一環として、日証協が制定する有価証券の引受等に関する規則第33条第1項に基づき日証協が受けている報告を参考に、一定の頻度で、制度の利用状況を日証協が把握することができるよう、実施されている第一種少額電子募集取扱業務の状況につき報告することが求められます。

カ. その他

① 広告規制

プラットフォーム事業者がウェブサイトに掲載する情報は、金商法第37条の広告規制に服するところ、同様に日証協の広告等規制に関する自主規制の対象となります。

② 顧客資産の分別管理

第一種少額電子募集取扱業者が口座を設けて金銭の預託を受ける場合、これを金商法に従い分別管理しなければならないことになります。分別管理については、日証協の自主規制ルールが存在することから、この諸ルールに従って運用される必要があります。

③ 株式決済等に関する情報提供

株式投資型クラウドファンディングを行う場合、発行者は株券発行会社であっても不発行会社であっても構わないとされます。但し、投資家が投資勧誘に応じた場合に株式の引受けの決済等について確認する方法は明確にされる必要があります。日証協は、この点に関する情報をプラットフォーム事業者のウェブサイトで提供するよう求めることを予定しています。

④ 株主管理体制に関する情報提供

株式投資型クラウドファンディングを行う場合、株主名簿管理人を置くか否かは発行者に委ねられますが、株主管理がどのようになされるかについての情報は株主にとって重要です。そこで日証協は、この点に関する情報をプラットフォーム事業者のウェブサイトで投資家に提供するよう求めることとしています。

⑤ その他

以上は、内閣府令や関連する監督指針案が公表される前の日証協における自主規制の概要となっているため、詳細については、これらが明らかになってから検討されることになります。

 

4. 実務上の検討事項

株式投資型クラウドファンディングについては、改正法と日証協WG報告書によって、法令と自主規制の組み合わせの概要が見えてきたことになります。サービスの具体的な内容をどのように設計するかというビジネスの核心に当たる部分は、法令であれ自主規制であれ、ルールによっては示されず、各プラットフォーム事業者の創意工夫に委ねられる領域です。

案件のソーシングの方法、発行体をどのようにストーリー付けして一般公衆に対して見せていくか、株式の値付けはどのような方法により行うか、発行する株式の内容をどのように設計するか(議決権や償還条項の有無等)、株主に対する優待の設計、エンジェル税制との連動、ベンチャーキャピタルやシードアクセラレータ、他のタイプのクラウドファンディングサービスとの連携など、サービスを魅力的にするアイディアは、基本的にこれらの規制の外にあります。参入を検討される事業者やこれを支える各専門家の創意工夫により、これまでの株式投資という概念に収まらない革新的なサービスの出現が期待されます。

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